2014/11/22

言葉で実感するとき

 願いどおり、飛行機の中ではぐっすり眠った。これまでにないくらいに。そして目が覚めて間もなく、私の乗った飛行機は、無事にサンフランシスコに到着した。
 
 日系の航空会社だったせいなのか、飛行機を降りてもまだ頭の中が日本語のままで、溢れんばかりの英語に少々面食らう。そうだそうだ、久しぶりに海外に来ると、言葉のスイッチがなかなか切り替わらないんだった、と思い出す。

 現地では、友達の家に泊めてもらうことになっていた。アメリカ人のだんなさんが迎えに来てくれているという。あちこちきょろきょろしながらゆっくりゲートを出たら、見たことのある顔が、「春奈ちゃん」と書かれた紙を持って笑って立っていた。Hi, nice to meet you, I'm glad to see you, とハグを交わす。はじめて会うロジャーは、笑顔の穏やかな紳士だった。

 おぼつかない英語でなんとか会話をしながら、ロジャーの運転する車で友達の家に向かう。アメリカに来たんだと実感したのは、道中、ガソリンスタンドの看板がガロンの表示になっているのを見たときだった。
 
 友達の家からは、太平洋が眼下に見渡せる。テラスに出て風に吹かれながら空を見上げていたら、もうすぐ上弦になる月が明るく光っていた。

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