2015/08/30

知ってから読むとどう思う?

私が住んでいる山形県の企業で
有名なところと言えばきっと名前が挙がるであろう、天童木工

その天童木工のプロダクトのひとつとして有名な
バタフライスツールを知っていますか?

デザインはあの柳宗理さん。
こんなきっかけで、バタフライスツールが生まれたそうです。
http://shop.ydn.or.jp/kokoro/vol002/tendo_index.html

このサイトには、
「この美しく柔らかい曲線を作り出すためには、
山形にある家具メーカー、天童木工の高度な成形合板技術が不可欠でした。」
とあります。
http://www.sempre.jp/brand/butterfly-stool/

それはどういうことなのか、
上記のサイトでは説明しきれていません。

それが詳しく書いてあるのは、ここです。
http://www.tendo-mokko.co.jp/6stories/products.html

開発は1954年、発売は1956年ということですから、
成形合板という技術をいちはやく取り入れた
天童木工をしても、柳宗理のデザインを実現するのには
2年の月日が必要だったということになります。

しかも、バタフライスツールを製作するために
多額の投資もしているそう。
9ミリが定番の合板加工の世界で、
バタフライスツールは
7ミリという限界の薄さでの成形に挑んだそうです。

そして、それを
どんな人が作っているかも、
天童木工のサイトにはきちんと掲載されています。
http://www.tendo-mokko.co.jp/6stories/craftsmen.html


こういったことを知ってから、
このサイトを見てみてください。
http://www.malsyo.co.jp/tendo_T0521.html


もったいない!と思いませんか?

この説明だけでは、バタフライスツールのよさは
伝わりきらないですよね?

どんなきっかけで、
どんな思いで、
どんな人が関わっているのか、

そんなことが何も書いていない文章からは、
温度が伝わってきません。

物を「ただの物」、
サービスを「ただのサービス」
として売りたいのならば、それでもいいかもしれません。

でも、自分が関わっている商品やサービスであれば、
そしてそれがいいものであればあるほど、
気に入って買ってもらいたいですよね。

あなたの商品やサービスの紹介文は、
ただ事実を書いてしているだけの
もったいない文章になっていませんか?

その裏のストーリーを知ることで、
その商品やサービスに持つ感情が変わることを体感して、
それを自分自身に応用しましょう!

それだけで、きっと反応が変わってきますよ。

---
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2015/08/27

これ、本当に同じ商品?

巷ではパンケーキが女性に大人気ですよね。
(私はどちらかというとパンケーキよりはドーナツ派なのですが…)
ご自宅でパンケーキを焼くという方も多いかもしれません。

楽天で人気なのが、
NORTH FARM STOCKの「北海道パンケーキミックス」です。

どんな商品なのか、このサイトを見てみてください。
http://item.rakuten.co.jp/kss-s/k3849-512-5/?l2-id=pdt_overview_stext#10038375

えー?これが人気なの?
と思ったあなた、正解です。
これだと、人気の理由はさっぱりわかりませんよね。

では、NORTH FARM STOCKのサイトを見てみましょう。
http://nfs.shop-pro.jp/?pid=34682265

最初に見たサイトよりは、
どんなものかがわかりやすくなりましたね。
こだわりについても書いてあるので、
なるほど、そういうところにこだわっているのか
ということは伝わります。

それでは、次にこのサイトを見てください。
http://item.rakuten.co.jp/wagamachi-tokusan/0121000022/

ふんふん、なるほど。
公式サイトよりもわかりやすいと思いませんか?
NORTH FARM STOCKがどういう会社かもわかるし、
このパンケーキミックスでつくると、
おいしそうなパンケーキができそうです。

最後に、このサイトを見てみましょう。
http://item.rakuten.co.jp/angers/138531/

どうでしょう?
どう感じましたか?

私は、このサイトを見てはじめて
「これ、買いたい!」と思いました。

「他のパンケーキミックスにはもう戻れない」ほどおいしく、
「お店みたいにきれいに焼け」て、
「1日わずか500個しか作れない」もので、
「これ以外では、ホットケーキは作りません」と言わせてしまう
ホットケーキミックスなら、買ってみたいと思いませんか?

ほかのホットケーキミックスと何が違うのかが
とてもわかりやすく書いてありますし、
6分でパンケーキが焼けてしまうこともわかり、
おまけにどんな用途で買っている人が多いかもわかります。

最初に見たサイトと、このサイトを
もう1度見比べてみてください。

最初に見た商品と同じものだとはとても思えませんよね?

これこそが、ストーリーの力なのです。

同じ商品でも同じサービスでも、
そこにこんなストーリーがあるかどうかで、
購買意欲はこれだけ変わるのです。

あなたの商品やあなたのサービスの紹介文は、
最初に見たサイトのようなものになっていませんか?

2015/08/26

【工藤春奈のものがたり】12 再び、編集の道へ

前回はこちら

山形に戻ってからしばらくは、
療養という名目で、ひたすら何もしない日々を送りました。
そのころの私の行動は、
午前中は家で読書か昼寝、
午後になったら県立図書館に本を借りに行き、
母のスーパーへの買い物に付き合うのが定番。

でもそれを半年近くも続けるとさすがに飽き、
体調も落ち着いてきたので
「そろそろ働きたいなあ」と思いはじめました。

とは言っても、
山形に編集の仕事は多くありません。
就職するにも、したいことは何もなく、
それなら事務作業で残業がないところがいいという
またまたお決まりの消去法でなんとなく履歴書を送ったのは、
ある奉仕団体の期間限定の事務所でした。
(振り返ってみると、人生の折々で
消去法で決めたことが多すぎる……!)

地元の会社の社長さんばかりが集まっていたその団体では、
人の上に立つ人の仕事のしかたを
たくさん目の当たりにすることができました。

今でもお付き合いさせていただいている方もいるし、
私にとっては、父のような存在の人ばかりです。

そしてその会員だったある印刷会社の社長さんに、
「以前そういう編集の仕事をしてたんだったら、
うちの子会社で制作編集をやってるから、うちに来い」
と引っ張ってもらい、その期間限定の事務所が解散したあと、
私は再び編集の仕事に戻ることになりました。

また大好きな編集の仕事ができる!
そんな思いで、喜び勇んで入社したのは、今から12年前の秋でした。

13へ続く。

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2015/08/25

ストーリーは違うものを生む?

以前、
ある方の自叙伝の執筆をお手伝いしたことがあります。

その方は、早くに亡くなられた旦那様が経営していた
ディーラーを引き継いでいました。
「お客様には
『ここが好きだから、いつまでもがんばって』と言ってもらってるけど、
年をとって仕事が大変になってきたし、
私は車もそんなに好きじゃないし、
もういつ引退しようかと思ってるの」とおっしゃっていました。

それでも、それまでの経験や思い出深いエピソードを伺うと、
私には、どうしても車が好きだとしか思えませんでした。

いくつかそういうお話を聞いたあとに
「車はそんなに好きじゃないとおっしゃってますけど、
きっと本当は車がお好きなんですよね?」と聞くと、
その方は虚を突かれたように黙ってしまいました。

そしてしばらく沈黙したあと、
「そうね、そういえば私、車が好きだったのね。
だからこの会社をなくしたくなくて、
今までがんばってきたのね」
と言い、涙を流していました。

そう自覚されたあとにその方が発したのは、
「ああ、だから◯◯をやろうと思ったんだった」
「◯◯をやったのは車が好きだったから」
と、仕事に対するポジティブな言葉ばかり。

それまでは
どんなに仕事が大変だったかに焦点を当てていた自叙伝は、
その中身を大きく変えることになりました。

そして、その自叙伝を配ったあと、
お客様から
「◯◯さんの考え方にすごく共感できたよ。
これからもよろしく」という声がその方の元に相次いだそうです。
私にとっても、とてもうれしい声でした。

いつ引退しようかと考えていたその方は、
もうしばらくは仕事を続けると決め、
実際にそれから5年近く、
それまでと同じように仕事をし続けたそうです。

代替わりをされた今も、
「◯◯のときはあの店に行くよ」というお客様が多いと聞きます。
それはきっと、
あの方が一生懸命伝えてきたあの会社の世界観が
お客様に受け入れられているからなのです。


ストーリーの種になるものに
自分自身で気づいている人は、決して多くはありません。

そんなときに私が注目するのは、
相手が言いよどんだり、逆にあまりにもサラッと流したりすること。

ご自分でも気づかないところに
私がコツンと引っかかることで、
相手の中に潜んでいるエピソードに気づくことができます。

そしてそれを魅力的なストーリーに仕立てるために、
これまでに身につけた質問力を活かしてあなた自身を掘り下げて、
あなたのエピソードを編集していきます。

自分がどんな人間なのかをわかりやすく説明し、
もっと輝けるエピソードを含み、
自分の代わりに雄弁に語る文章を書くことで、
あなた自身を魅力的に発信していきませんか?

あなたとあなたのサービスを
好きにさせてしまう、
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自分だけのストーリー」を発掘します。

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2015/08/22

「コツン」で「のに」を減らしたい

今日の午前中は、
すでに水面下で開催している
ストーリー発掘モニター講座でした。

そのときに、
私が何を大事にして話を聞いているか、
質問しているのかが
イメージとして描けた瞬間があったんです。

それは、「コツン」があるかどうかということ。

取材でも講座でも、話を聞く時間は多くなります。
そのときに、
どうしても止まって確認せざるを得ないポイントが
必ずあるんです。

自分のことはなかなか見えていませんから、
魅力につながるとは思ってもいなかったことを
サラッと一言で終わらせる方もいます。
自分ではこれが最終的な答えだと思って、
その手前のことを言っている方もいます。

そういうときは、どうしてなのかはわからないけれど
どうも引っかかるんですよね。
「そうなんだー」と流せないところがあるのです。

そこを掘り下げていくと、
実はすごいエピソードを持っていたり、
もっと奥に、
さっきとは違う思いを抱いていたりすることがあります。

それに気づくと、みなさん
「ああー、そうだったんだ……」
とおっしゃいます。

そうおっしゃったあとは、
もちろん、言うことが変わってきます。
心なしか声まで明るくなったりも。

そんな瞬間に立ち会えることが、
とっても嬉しいなあと思えるんです。

人間にはいろんな面がありますから、
キーワードによって、
さまざまなストーリーを仕立てられます。

その中で私がやっていくのは、
その人が提供しているサービスや商品を
もっと魅力的に見せるためのストーリーづくり。

「コツン」を大事にすることで、
「ここを出すと、この商品はもっと売れると思うのに」
「あの人、せっかく◯◯なんだからそれを出せばいいのに」
という
「のに」を減らしたいと思っています。

「コツン」と「のに」。
私にとっては、大事なキーワードになりそうです。

2015/08/21

【工藤春奈のものがたり】11 諦めと都落ち

仕事はとても楽しかったはずなのに、
なんだか最近体調も悪いし、
立てる企画もパッとしない、
どうして毎日気持ちが晴れないんだろう?

まるで頭の上に大きい金属の板が乗っているみたい。

そう思ったのは入社3年目の4月。
そこから転げ落ちるのは、あっという間でした。

まずものが食べられなくなり、
それまではパンパンに太っていたのに
みるみるうちにげっそり痩せ、
電車でも会社でも過呼吸を起こすようになり、
それでも「私は大丈夫」と言い張る……。

今の私が当時の自分を見たら
有無を言わさずに病院に引っ張っていきますが、
当時は自分で自分のことをうまく認識することもできず、
ただ「大丈夫」というだけ。
どう見ても大丈夫じゃないのに、です。

それがどうにもならなくなって
上司に無理やり連れて行かれた病院で下った診断は、
「鬱病とパニック障害、それもかなり重度。
即入院が望ましい」
でした。

ずっといい子で来てしまった私は、
それを親に言うのがひどく怖く、
ひたすら「ごめんなさい」と言っていたのを思い出します。

入院したのは大学病院の精神神経科。
そんなところに自分がいるということを認められなくて、
毎日「早く退院させてください」と言っていました。

休職と復職を何回か繰り返しても
以前の状態に戻ることはなく、
結局私は入社4年目を迎えるタイミングで
退職することになりました。

山形に編集の職が少ないだろうことはわかっていました。
そして、
それに耐えられるだけの気力も体力もないことも
認めざるを得ませんでした。

泣く泣く編集の仕事を諦め、
都落ちの気分で
絶対に戻りたくないと思っていた山形に戻ることになったのです。

12へ続く。

2015/08/20

「会ってみたい」「受けてみたい」と思ってしまう文章って?


「ストーリーが大事なのはわかったけど、
じゃあこの講座を受けるとどうなるの?」
と思っていらっしゃる方へ。

【あなたをもっと魅力的に発信する
自分だけのストーリー発掘Skype講座】を
受けると何が変わるのか、

実際に講座を受けていただいた方の文章を読んで
感じていただきたいと思います。

長くなりますが、どうぞお読みくださいね。

---
【受講前】
小さな頃から、不思議な現象や、この世界の本質を知りたい
と思うような、ちょっと変わった子供でした。

高校生の時、公害や戦争などでこのままでは世界は滅亡、
それを回避するには、人類の意識が「奪い合い」から
「分かち合い」に変わる必要があるという思いから、
将来、宗教家になろうと決めます。

それと平行して、スピリチュアルな技術(占い、透視、願望達成等)
にも興味を持ち、研究し始めました。

その後、大学受験に失敗、スピリチュアルな技術を使うも、
現実が当時望んでいた通りにならなかったことから、
スピリチュアルな世界から一切離れてしまします。

大学卒業後、営業職に就くも、違和感を感じ退社、
かねてから興味のあった鍼灸師になるべく、鍼灸学校に入学。

そこで再びスピリチュアルに出会い、
それらが全て自分の中でつながり、
同時に昔なぜスピリチュアルが現実に生かせなかったか
の理由も理解出来たため、
今後はスピリチュアルを中心に生きることを決意しました。

卒業後、鍼灸・整体師として治療院を開院、
平行してタロットやヒーリング(エネルギー治療)を行い、
人が魂の目的にそって生きるサポートを開始。

その後、個人レベルだけではなく、
人類の意識の変容を望んでいたことを思い出し、
より多くの人の意識を変えるために、
リーダーとしての経営者に注目。

昨年より、いよいよ人が自分の本質で生きる時代の到来を実感。
20年に渡る研究と、延べ6,000人以上にヒーリング、
タロットセッションを行ってきた経験を活かして、
自分の本質を使ってビジョンを生きる経営者のちからになるために、
「目標達成スピリチュアルコンサル」を本格的に開始することになりました。
---

この文章を読んで、どんなふうに感じましたか?
「ふーん、そうなんだ」とは思いますが、
私はあまり心を動かされませんでした。

この文章が、講座を受講後、
こんなふうに変わったんです。

---
【受講後】
小さな頃から、不思議な現象や、この世界の本質を知りたい
と思うような、ちょっと変わった子供でした。

高校生の時、公害や戦争などでこのままでは世界は滅亡、
それを回避するには、人類の意識が「奪い合い」から
「分かち合い」に変わる必要があるという思いから、
将来、宗教家になろうと決めます。なぜこんな風に思ったのか、
今でも不思議ですが、結構熱い想いだったことを思い出します。

それと平行して、スピリチュアルな技術(占い、透視、願望達成等)にも
興味を持ち、研究し始めました。
気功法や、透視の練習、夢のコントロール等、
興味のあるものは、とりあえずやってみました。

このころ、その技術を使えば、現実が思い通りになるのでは
と考えてやってみたのですが、結局、大学受験に失敗、
スピリチュアルな技術を使うも、
現実が当時望んでいた通りにならなかったことから、
スピリチュアルな世界に失望し、一切離れてしまいます。

それまでやっていたことをやめたのはもちろん、
集めた書籍や資料もすべて処分しました。

ここから、それまでスピリチュアル一色だった世界から、
こんなものは役に立たないという失望と怒りで、
マテリアル(物質)な世界に反転します。

読んでいた雑誌は、
以前の「ムー」や「トワイライトゾーン(旧題UFOと宇宙)」から、
「ポパイ」や「ホットドッグプレス」という情報誌へ。
「チェックメイト」や「メンズクラブ」、「メンズノンノ」といった
ファッション雑誌を読みあさったり、流行りのお店に流行りの音楽、
そしてファッションと、そんな日々を過ごしていました。

なんとなく過ごした学生生活も終わり、大学卒業後、
服の輸入卸の会社に営業として就職します。
仕事にもようやく慣れてきた時、大きな出来事が起きました。
バブルがはじけて景気が急降下し、
それまでとくに何もしなくても売れていた服が、
売れなくなってしまったんです。

そうすると、
景気が良かった時には見えなかった問題が浮上してきました。

何が起きたか簡単に言うと、
会社と得意先で利益の取り合いが始まったんです。
得意先には、大きいところは百貨店から、
小さいところは個人商店まであったのですが、
百貨店のようなところには会社は弱く、言われた条件を飲むだけで、
反対に個人商店には無理やりこちらの条件を飲ませるわけです。

このやり方の是非はともかく、
自分にはどうにも違和感がありました。
会社のために頑張れば、得意先は損をし、
得意先側につくと会社は損をする、
どちらかが勝つと相手が負けるという世界だったんです。

この出来事は「自分は一体仕事に何を求めているのか?」
それを考えるいい機会になりました。

そこから出た結論は
「自分が一生懸命やれば、相手が喜ぶ仕事、
そしてそれを体感できる仕事がしたい」でした。

そこでかねてから興味のあった鍼灸師になるべく、
会社を辞めて、鍼灸学校に入学します。

そこでまた大きな出来事がありました。
鍼灸学校というところは面白いところで、
高卒で入学される方から、退職後、第二の人生として鍼灸を学ばれる方、
西洋医学的な鍼灸をする方から、
「気」を中心とした東洋医学に興味のある方まで、
幅広い人種がいるんです。

営業という、ある意味とても現実を象徴する世界に疲れた私は、
気がついたらスピリチュアルに興味のある友達が
たくさんできるようになりました。
その友人たちに、本を貸してもらったり、
ワークショップやセミナーに連れてってもらったりしたのですが、
今から思えば、けっこうアヤシイもの(笑)もたくさんありました。

しかし、そこで大きなことに気づいたのです。

その一見あやしくみえたスピリチュアルなものが、
「気」を中心とした東洋医学では、すべて役に立つというだけでなく、
それらは、すべて以前の自分が興味を持っていたものだったのです。

それまでバラバラで、しかも捨ててしまったスピリチュアルの断片が、
ここにきて一気にすべてが繋がったのです。

そして同時に、
昔なぜスピリチュアルを現実に生かせなかったのかの理由も理解できました。

それは、
私は現実逃避のためにスピリチュアルを使っていたからなのです。

スピリチュアルとは、現実を生きるための智慧であり技術です。
それは現実に真摯に向き合う人のためのものであって、
現実逃避のための都合のいい言い訳ではないんですね。

この体験の後、やっぱり自分にはこれしかないという想いから、
今後の人生をスピリチュアルを中心に生きることを決意しました。

鍼灸学校を卒業後、鍼灸・整体師として治療院を開院、
平行してタロットやヒーリング(エネルギー治療)を行い、
人が魂の目的にそって生きるサポートを開始。

その後、個人レベルだけではなく、
人類の意識の変容を望んでいたことを思い出し、
より多くの人の意識を変えるために、
リーダーとしての経営者に注目。

昨年より、いよいよ人が自分の本質で生きる時代の到来を実感。
20年に渡る「スピリチュアルをいかに実生活に活かすか」の研究と、
延べ6,000人以上にヒーリング、タロットセッションを行ってきた経験を活かして、
自分の本質を使ってビジョンを生きる経営者のちからになるために、
「目標達成スピリチュアルコンサル」を本格的に開始することになりました。
---


受講前と受講後で、
この方に対する印象が変わりませんか?

私は、この受講後の文章を読んで、
スピリチュアルに対するもともとの思いの強さ、
そしていったんそれを捨ててしまうものの、
やはり「自分にはこれしかない」という思いで
真摯に向き合う熱意を感じました。

受講後の文章のほうが、
この方がどんなことを考えて
どんな思いを持って
スピリチュアルコンサルをやろうとしているのかが
伝わると思いませんか?

私なら、あとの文章を書く人の
コンサルを受けたいです。

この方は、
自分の考えの変化を意識したことで、
今自分のやっていることに対する情熱を
文章で表現できるようになりました。

過去を振り返って、「こういうことがあった!」と
事実を思い出すだけでは不十分。
それをどう見せていくか、ということが
いちばん大事です。

どの出来事を切り取って、
お客様に対してどんなふうに魅力を見せていくのか、
それを考えるのがこのストーリー発掘講座です。

あなたの過去の出来事は、
今のあなたに、どんなふうにつながりますか?


【あなたをもっと魅力的に発信する
自分だけのストーリー発掘Skype講座】

モニター価格で受講できるのは、
9月に開始するコースのみです。

Skype講座の日程を追加し、
お勤めの方のための平日夜コース、
すこしじっくり時間をかけて学びたい方のための平日午前中コース、
そして短期集中で学びたい方のための週末午前中コースも開講します。

詳細はこちらからどうぞ〜。

2015/08/19

透明な本ができるまで

独自のストーリーは、
その商品やサービスを買う理由になります。

今とても欲しいものはいくつかあるのですが、
これもそのうちのひとつ。
Book on Book です。

私は年に150冊ほど本を読みます。
本を読んでいると困るのが、
読みながら何かをしたいときに
本を押さえるためのツールがないということでした。

Macの下に本の端っこを差し込み、
もう片方はまた別の本やらiPhoneやらで
押さえていることが多いのですが、
見た目のなんと無粋なこと。

それに、押さえていることと安定することは違いますから
バサーッと本が閉じてしまったりして、
「わあ、今読んでたページどこ?」となることもしばしば。

そんな経験がある人にとっては、
きっと、このBook on Bookは嬉しい商品だと思います。

私がこの商品に惹かれた理由は、それだけではありません。
商品化までのプロセスが綴られている、
この「7年間の紆余曲折」を読んでみてください。
http://tent1000.com/talk_files/bob_talk.html

この透明な本ができるまで、
どんな思いやどんなこだわりがあって、
どんな人が関わってきたのかがわかりますよね。

私がはじめにこの商品を見つけたときは、
「これいいなあ。
でも、たぶんずっと使えるけど、
ちょっと高いな……」
と感じました。

すぐに「買う!」と決めるには至らなかったんです。

でも、この「7年間の紆余曲折」を読んでしまったら、
もう欲しくてたまらなくなってしまいました。

この商品の向こうに、そんな歴史があったということや
作っている人の顔を知るということが、
購買意欲そのものに直結するんですね。

ただ商品ページを見ただけのときと
このプロセスを知ったあとでは、
あなたの気持ちは、どう違いますか?

何かが違ったとしたら、
あなたも、ストーリーに動かされているのです。


2015/08/18

このお皿、ちょっと買いたくなりませんか?

インテリアショップで、とても好きなお店があります。
それが、ここ、scopeです。

スタイリングや写真が素敵なのはもちろん、
私が大好きな北欧のものがたくさん取り扱われているので、
実際に買わなくても見に行ってしまうこと、しばしば。

その中で、最近とても惹かれたのが、このお皿です。
http://item.rakuten.co.jp/scope/c/0000001537/

もともとは、クラウス・ハーパニエミという
フィンランド出身のイラストレーターの描く絵が好きで
いいなあと思ったものなのですが、
このページを読み進めてみてください。

図案完成まで、なんと3年もかかったって書いてありますよね。

しかも、試行錯誤しながら3年かかったのではなく、
思惑のすれ違いから1年間の冷戦状態を経て、
そのあと関係修復から始めて完成に漕ぎ着けたなんて裏話、
お皿だけを見ていたらわかりません。

それに加えて、お皿そのものも
たくさんの人の手作業を経て作られているそう。

ただ「別注でこんなお皿を作りました!」と
お皿のサイズや価格だけが掲載されているのとは、
受ける印象がまったく違いますよね。

「これは歴史に残る、いい皿になる!」
という言葉も、
それだけの手間ひまをかけた自信作だからこそ、
こうやって打ち出せるのです。

いろんな人のいろんな苦労があって、
長い年月をかけてこの世に生まれたものだということがわかると、
この話を知る前よりも興味を持てたり、
ちょっと買いたくなったりしませんか?

このような
私に響いたストーリーを、
これからご紹介していきますね。

2015/08/15

【工藤春奈のものがたり】10 やっぱり、その人だけのストーリーを知りたい

入社して1年ほどは月刊誌と単行本のどちらも担当していましたが、
2年目になって後輩が配属されたこともあり、
雑誌の方は最終工程だけ手伝うことにして、
私は徐々に単行本専属にシフトすることになりました。

となると、企画を出さねばなりません。

それまでは、「年度版」「改訂版」と言われる
法改正などを修正したものをメインで担当していたので、
新規の企画を考えるのは、ほぼはじめて。

相変わらず会計の知識はないに等しく、
かろうじて勘定科目がわかるようになった程度なので、
何が求められているのかさっぱりわからず、
会計の書籍は作りようがありません。

どうしようかな、と考えていたときに、
ある方から企画の売り込みがありました。

それまでに刊行していた資格シリーズでも
なぜかその資格の書籍は発行されておらず、
企画内容を読んだ私は、編集長に
「これ、出させてください」と言っていました。

専業主婦だった方が一念発起して
数年の年月をかけて国家資格を取得し、
念願の事務所を開くまでのストーリーが
そこには書いてありました。

今でも合格率が10%に満たないその資格に
ほぼ独学で合格したその人のものがたりに、
とても惹かれたのです。

同封されていた連絡先に電話をしたときの
その方の
「え、本当に本を出せるんですか?」
と驚いていた声も、
「出したいんです!ぜひ原稿を書いてください」
と熱っぽく話した私が見ていた風景も、
いまだに忘れられません。

数ヶ月後、その企画は無事に本となって書店に並び、
そこそこの売上を記録しました。

遠方にお住まいだったその方と
実際にお会いできたのは1回だけです。
「担当してくれたのが藤田さん(旧姓)で
本当によかったです。
これからもよろしくお願いしますね」
という言葉は、
新しい本を出す喜びを味わい、
こういう、その人だけが語れる本を
つくっていきたいと思うのには十分でした。

11に続く。

2015/08/14

あなただけの魅力的なストーリー、発掘します

どうして自分がそれをやるのか。
どうしてそれでなくてはならないのか。

それが伝われば、
周りに集う人が自然に増えていきます。

私はもう15年以上
ネット上で文章を書いています。
ネットでのお付き合いから
リアルでのお付き合いに発展した方も
何人もいます。

自分が何を大事にして
どんなことを感じて
どんなふうに行動しているのか、
それを知って
それを「あ、こういう感覚の人、好きだな」と
思ってくれる人とつながりたい、と
今でも思っています。

そのためには、
ただの日記「だけ」を書いてもなかなか伝わらない。
日記なら日記でもいいんですよ。
でも、そこで
「自分自身を表現しているか」がいちばん大事なんです。

私と今でもつながってくれている
もともとはネット上の友人だった人たちは、
私がどういう人間で、
どういうことを大事にしているかを知っている。

それは、私が
日記という手段を使って
自分自身を自然と発信してきたからです。

商品やサービスも同じこと。
ただのサービスの説明文を読んでも、
「ふーん」って思いませんか?

でも、
そのサービスをするからには、
なぜ自分がそのサービスをやろうと思ったのか、
なぜそのサービスという形になったのか、
その理由であるストーリーが自分の奥にあります。

それを知ることができれば
前よりも興味を持ってもらえるし、
その考え方に共感してもらえれば
自分のことを好きになってもらえます。

「そんなの何もないよー」と言う方は、
忘れているか、気づいていないだけ。

自分だけのストーリーは、
誰にでも、必ず、あるんです。

自分でも意識していなかった
「あなたをもっと魅力的に見せるストーリー」の種を発掘し、
もっとあなたを理解してもらい、
あなたを好きになってもらうための講座を始めます。


【あなたをもっと魅力的に発信する
自分だけのストーリー発掘Skype講座】

自分のやることはもう決まっている、
もう始めてもいる、
でももっと自分を魅力的に打ち出したい…
と思っている方向けの、
2時間(予定)3回+フォローアップの連続講座です。

今まで意識していなかったことに取り組みます。
毎回、宿題も出ます。
でも、この講座が終わったとき、
あなたは、それまでよりももっと魅力的に発信できる
商品やサービスの紹介文を手にすることができますよ。

▼受講コース
(1)月曜日午前中コース(すこしじっくり時間をかけて学びたい方向け)
 9月28日、10月5日、10月19日(月) 10:00〜12:00 残席1
(2)水曜日夜コース(お勤めの方向け)
 9月16日、30日、10月14日(水)19:30〜21:30 募集終了
(3)土曜日午前中コース(短期集中で学びたい方向け)
 9月26日、10月3日、10月10日(土)10:00〜12:00 募集終了
*振替受講も可能です。ご相談ください。

▼内容
第1回目:理由と過去の思いの掘り起こし
 自分だけのストーリーは、誰かに聞いてもそこにはありません。
 あるのは自分の過去にだけ。
 理由や自分の過去をじっくり振り返ることで、
 もともとの自分の思いに気づいていきます。

第2回目:魅力的なストーリーに必要な要素と自分への応用
 魅力的なストーリーにするためには、必要不可欠な
 要素と、それに組み合わせていくことで相乗効果を
 狙う要素がいくつかあります。それをお伝えし、
 自分自身の過去がどれに当てはまるのかを確認していきます。

第3回目:文章のブラッシュアップ具体策
 自分で書いてみたサービスや商品の紹介文について
 参加者同士で率直な意見を交わし、どこを改善すると
 もっと良くなるかをお伝えします。その後、実際に
 書き直しに取り組んでいただきます。

フォローアップ:3回の講座を踏まえて紹介文を書き直していただき、
 お互いにフィードバックし合い、私からのアドバイスをお伝えします。

*内容については予告なく変更になることもございますので、
あらかじめご了承ください。

▼場所
あなたのPCの前

今回の講座はSkypeで行います。

今まで講座を開催してきて、
「遠くて行けません」
という声をいただいていたこと、
そして私自身が
同じ理由で参加を諦めてきた講座が
たくさんあること、
がSkype講座をやる理由です。

Skypeでの講座ですので、
遠方の方でも参加できますよ!

Skype講座のメリットは、ほかにもあります。

外見からの印象が入らない分
純粋に文章で自分自身が伝わるか判断できますし、
文章と実際の自分にギャップがあると言われる人にとっては、
そのギャップがどこにあるのかを探るきっかけになります。

そのギャップも、
自分をもっと魅力的に見せるための種になるんですよ。

ぜひ、Skypeでの講座を体験してくださいね。

▼受講料
通常37,800円のところ、モニター価格として29,800円

▼お申し込みはこちらからどうぞ!
PC用:https://www.mshonin.com/form/?id=382442678
スマホ用:https://www.mshonin.com/sp/?id=382442678
携帯用:https://www.mshonin.com/i/?id=382442678


私が取材でやっていることも、
同じことなんだなあと思うのです。

話を聴いて、
「なぜそう思ったの?」
「それでどうしたの?」
「だからこうなったのね?」
ということを引き出して、
それを文章にまとめていくということ。

これまで取材させていただいた多くの方に
「そういえば、こんなこともあったのを思い出しました」
「自分のことなのに、こういう理由で
やっていたんだなあって気づかせてもらいました」
と言っていただきました。

そうなんです!
気づいてないだけなんですよ!

それを見つけて、
自分だけのストーリーを発信していきましょう。

それだけで、
あなたはもっと魅力的になりますから。


2015/08/13

【工藤春奈のものがたり】9 月刊誌の体験記でしみじみと感じる

無事に会社に入社し、
入社式で発令された辞令によって
私は編集部に配属されることになりました。

会計士や税理士を目指す人、
簿記などの資格を取りたい人のための
受験雑誌やテキスト、問題集をつくる部署でした。

卒業した学部には会計関連の授業が一切なく、
「借方」「貸方」の読み方すら知らなかった私には、
月刊誌のどこを読んでも
日本語の意味がわかりませんでした。

その中で唯一、
会計の知識がなくてもわかる内容だったのが、
公認会計士試験の合格者が綴る
受験体験記のコーナーだったのです。

「この人は何年も何年もかかって合格したんだなあ」
「この人の勉強法は参考になるな」
「この人の受験はこんなことが大変だったんだ」
と知ることのできる受験体験記は、
もちろん読者の方にもためになっていたはずですが、
誰よりも私が興味を持って読んでいたと思います。

原稿を書いてくれた方が
次の月の体験記を書く人を紹介してくれる
というシステムで成り立っていた
そのコーナーの原稿が送られてくることを、
私はとてもとても楽しみにしていました。

「公認会計士試験に受かった人」
とだけくくってしまえば、その見方しかできません。

でも、その人たちにも
こんなにたくさんのストーリーがある。
それは決してひとりとして同じではない。
私にとっては、
それを深く心に刻ませてくれるコーナーだったのです。

10へ続く。

【工藤春奈のものがたり】8 導かれるように出版社へ

就職活動に対する危機感は、
かなり早い段階から持っていました。

たいした資格を持っているわけでもなく、
特別な技術があるわけでもない
地方の大学の文系女子学生にとっては、
どうやって立ち向かったらいいかもわからない強敵でした。

メーカーは自分が何をするのかわからないし、
商社なんてもっとわからない、
金融は向いている気がしないし…と
お得意の消去法で決めた結果、
当初は航空・鉄道や運輸業界ばかり狙っていたのです。

でも、消去法で決めていることには
突き動かされるような衝動もなく、
届くのは「お祈り」のペラペラの文書ばかり。
何十社落ちたのか、もう思い出せません。

あまりの決まらなさに、
「私には会社で働くだけの価値がないんだろうか」
とひどく悲観的になり、
泣きながら実家に電話したこともありました。

そんなときに、ふと
新聞の求人広告に載っていた
ある出版社の名前が目に止まりました。
「この会社知ってる気がする」と名前を調べてみると、
国際経営論の先生が書き、
自分の授業で使っていたテキストを発行していた
会計・経営の専門出版社。

その先生に
「この会社を受けてみようと思うんですが」
と相談したところ、
「いいんじゃないか。ぜひ受けてみなさい」
と言われたのです。

出版社の競争率が非常に高いことくらいは、
私も知っていました。
でも、なぜかこのときは
「受かる気がする」という根拠のない自信がありました。

「書類選考に通ったので、東京まで面接に来てください」
と言われて赴いたそのときに知らされたのは、
すでに東京での通常採用は終わっており、
遠隔地からの受験者を集め、
1日で小論文と面接3回をこなすスケジュールだ
ということでした。

慣れない東京で
小論文と3回の面接を受け、
それでも「楽しかった」という印象を持って
アパートに帰り着いた私に翌日届けられたのは、
「内定です」という1本の電話でした。

就職活動を始めてから実に半年以上、
結局この内定をいただいた時点で
私の就職活動は終了し、
それまで1回も考えたことのなかった
出版社への入社が決まったのです。

私にとっては、
思いがけないドラマチックな幕切れでした。

9へ続く。

2015/08/12

【工藤春奈のものがたり】7 ものがたりと専攻と卒論

受験直前に志望大学を変更した私でしたが、
無事に受験を突破し、
静岡の大学に入学しました。

3年生になるときに訪れた転機は、
所属ゼミの決定でした。

ヨーロッパの政治を勉強したいと思って
大学に入ったものの、
「この先生に習いたい」と思っていた先生は
私の入学と入れ違いにいなくなっていましたし、
後任の先生と面談をしても
私が勉強したい国の政治とは別の国が専門だったので、
あまり手応えがない、という状態。

どうしようかなあ…と思っていたときに
「そういえば、この先生の政治学の授業はおもしろかった」
と思い出した先生のところに面談に行ったことがきっかけで、
私はまたもやあっさりと志望を変え、
その先生のゼミで日本政治史を勉強することになりました。

国際政治を勉強するつもりだったのに
なぜか日本政治史を勉強している自分が、
自分でもとても不思議でしたが、
それ以外は考えられないほど自然な選択でした。

卒論のテーマは、
ある政治家の政治思想の変遷。

今思えば、
日本政治史は日本の政治のものがたりですし、
卒論でさえも、
政治思想という視点から
その人のものがたりに注目していたのです。

どこまで行っても、
ものがたりに興味があるのは間違いありません。

そのころいちばん読み込んだ本が、この1冊です。

他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス 〈新装版〉
若泉 敬
文藝春秋
売り上げランキング: 146,079


そして、
卒論を書くと同時に進めていた
就職活動という高い高い壁が、
今の私を形づくる大きなきっかけになったのです。

8へ続く。

2015/08/10

【工藤春奈のものがたり】6 自分がなぜそれを選ぶのか

私が通っていた高校は、
女子校、しかも進学校でした。
入学式のときから大学受験の話をされ、
1年生でも全国模試を受けるような学校でした。

当然、志望する大学も
1年生のときから考えます。

根っからの文系なのに、
入学した当初は
「理系に行こうかなあ…」
などとぼんやり考えていましたが、
数学と物理が大の苦手では
理系に行けるわけもなく、
ほどなくして文系に志望を修正しました。

それでも、1回も志望学部に選ばなかったのが、
文学部でした。

本を読むのは相変わらず好きでしたが、
当時の私には、
文学を学ぶことに対する拒否反応がありました。
「大学に行って文学を勉強して何になるんだ」
という思いがあったのも事実です。

かといって特に勉強したいことも思いつかず、
先生になるつもりはないから教育学部もなし、
経済には興味がないから経済学部もなし、
ずっと会社員でいるつもりだから経営学部もなし、
と消去法で決めた結果、
志望学部の欄には
長いこと「法学部」と書いていました。

でも、あるとき、
「私は法学部に行って何をしたいんだろう?」
と考えたら、何も思い浮かばなかったのです。

弁護士になりたいわけでも、
検事になりたいわけでもない。
じゃあ法学部じゃなくてもいいのかもしれない、
とはたと思い当たりました。

そこで、自分の好きなことを
改めて考えてみると、
英語を使うこと、
そして政治に関するニュースを見ること
という答えが出てきました。

それに合致する学部を調べて
「国際政治を勉強したいんだ!」
という結論を出し、
それまでの法学部から
国際関係学部へと志望を変更したのです。

高校3年生の、
秋も深まったころでした。

担任の先生には
「今ごろ志望を変えるのか?」
と呆れられましたが、
「だってこれをやりたいんだもん」
の一言で押し通しました。

今考えてみると、
自分がなぜそれを選ぶのか
ということにこそ、
自分のものがたりがあるのだと思います。

「なぜ自分がそれをやるのか」。

今でも、とても大切にしている質問です。

7へ続く。

2015/08/09

【工藤春奈のものがたり】5 なんでなんでちゃん

人にはみんなものがたりがあるのだと知ってから、
私は以前にも増して
「なんで?」
という言葉を発するようになりました。

「今日◯◯に行ってきたんだ」
「なんで?」

「この料理がおいしくてー」
「なんで?」

「今日はこの服を着るの」
「なんで?」

きっと、周りは相当迷惑していたと思います。笑

でも、「なんで?」の奥には、
必ずその人だけの理由がある。
「なんで?」を繰り返していくと、
相手も、自分では意識していなかったことに気づき、
自分が大事だと思っていることがわかる。
そんなふうに思っていました。

理由とプロセスを知れば、
自分の行動がもっと力を増す、
そう思いつづけています。

今でも、自分自身にいちばん投げかけている質問は
「なんで?」
だと断言できます。

なんで好きなの?
なんで嫌なの?
なんでやりたいの?
なんでやりたくないの?

そう考えることで、
自分の意志を確かめてきたのかもしれません。

それをはっきりと意識したのは、
大学受験のときでした。

6へ続く。

2015/08/07

【工藤春奈のものがたり】4 奥にあるものがたりに触れたとき

本の中のものがたりは依然として好きでしたが、
人にもものがたりがあるのだと知ったのは
祖母の影響です。

祖母からはたくさんの思い出話を聞きました。
その中でも強烈だったのが、
満州から引き揚げてくる道のりのこと。

当時妊娠中だった祖母は、
身重の体で必死に祖父と日本を目指し、
山形に帰る途中の昭和20年9月、
一面焼け野原の広島で
母を産んだということを
繰り返し繰り返し話してくれました。

親戚はおろか、知り合いも誰もいない土地、
しかも原爆が落とされてからまだ1ヶ月も経たない広島で
はじめての出産を経験することになり、
祖父は一生懸命産婆さんを探したそうです。
あのときのバラックの様子は
まだ覚えている、と祖母は語っていました。

いつも穏やかで、私を怒ることも一切なく、
にこにこと笑っていた祖母の奥に
そんな壮絶な経験があったとはにわかに信じられませんでした。

でも、「人には、あえて見せようとはしなくても
その人だけのものがたりが必ずある」ということを、
言葉にはできないものの、感じ取っていたのだと思います。

それに気づいてから、
私はそれまでよりいっそう
「なんでなんでちゃん」になるようになりました。

5へ続く。

2015/08/05

【工藤春奈のものがたり】3 はじめての感情

「うれしい」「楽しい」「悲しい」
という感情はわかりやすいもの。
人間の本能に直結しているからでもあると思います。

それに対して、
私には、本から学んだ感情もあります。

ないた赤おに (大人になっても忘れたくない いもとようこ名作絵本)
浜田 広介
金の星社
売り上げランキング: 108,614

たしかこの本を読んだのは、
幼稚園の年長くらいです。

なぜ青おにがいなくならなければならないのか
当時の私はさっぱり理解できず、
おまけに、
心をねじ切られるようなこの感情が何なのかがわからず、
それを説明することもできず、
いたたまれなさの中に身を置いているだけでした。

今なら、その感情は
「せつない」だとわかります。

やりきれないのに、自分ではどうしようもない。
それまではハッピーエンドの物語ばかり
読んでいた私にとって、
この本が与えた印象はとても強烈でした。

そして、はじめての感情を得たことで、
ますますものがたりの力の強さを信じるようになったのです。

4へ続く。


2015/08/04

【工藤春奈のものがたり】2 自分だけの本・自分だけの物語

字が読めるようになってからは、
親がたくさん本を買ってくれました。

早生まれだったこともあって、
周りの子よりも体が小さく、
何をやるのものろくて
しょっちゅう泣いていた私が
楽しい気持ちに浸れるのは、
本を読んでいるときでした。

本さえ与えておけば
いつまでもいつまでも静かにしていたそうで、
「ひとり遊びしていてくれるから助かったわ」
とは母の弁です。

その頃から、今でも大好きな絵本が
これです。

しろいうさぎとくろいうさぎ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
ガース・ウイリアムズ
福音館書店
売り上げランキング: 5,944

それまでにも自分の本はあったのですが、
この本は、
はじめて「自分の本だ」と自覚した1冊です。

表紙を開いたところに、
私の拙い字でこんなことが書いてあります。

「このほんは はるなちゃんのほんです。
もしあやちゃん(妹)がこのほんをもっていたら
わたしにおしえてください。」

それだけ、人に譲りたくない、
自分だけの物語だと思っていたのでしょう。
どこに行くにもこの本を抱えていたことを
まだ覚えています。


3へ続く。

2015/08/03

【工藤春奈のものがたり】1 ものがたり好きの理由

小さいときから、本が大好きでした。
おもちゃは基本的に買ってもらえなかったので、
女の子なら1回は通過する
リカちゃんやらバービーちゃんやらは
家にあったことがありません。
後に発売されたファミコンも、
もちろん買ってもらえませんでした。

そのかわり、マンガ以外の本なら
ほとんど無条件で買ってもらえる環境でした。
父も母も本が好きだったので、
ごくごく当たり前のことだったのだと思います。

でも、ものがたり好きの起源は
もっと前のこと。

まだ自分では字が読めなかった時期、
寝入りばなに両親が読んでくれる絵本や
適当に創作したお話を聞くのがとても好きでした。

「もうここまでにして寝なさい」と言われても、
「もっと!もっと!」と言って
続きをせがんでいたそうです。

ものがたりの力は
きっと子どもでもわかるんですよね。

その頃大好きだったのは、この絵本でした。


字が読めるようになった私は、
手当たり次第に本を読むようになります。

2へ続く。

2015/08/02

「ものがたり」を軸に活動します

人は、ものがたりに惹かれます。
ものがたりには、力があります。

「なるほどー、そんなふうに思ってたのか」
と相手の考えの理由を知ったり、
「そんなことがあったのね」
という経験やプロセスを知ったりすると、
その人をますます好きになってしまう、
そんなことはありませんか?

あまり興味のない商品やサービスだったとしても、
その商品開発のストーリーを知ると
以前とは見方が変わったりする経験をしたことがある方も
多いと思います。

テレビ番組で
「情熱大陸」や「プロフェッショナル」が人気なのも、
その「ものがたり」に触れられるからなんです。

*

私が最初にネット上で文章を書きはじめたのは
もう15年ほど前。

ネットで知り合って
今でもお付き合いのある人が何人かいますが、
その全員に共通しているのは
「私がその人たちのファンである」ということ。

ネットでお互いの文章を読み合っていても、
全員が全員、今までつながっているわけではありません。

だとしたら何が違うんだろう
と考えてみると、

その人がどんな考えを持っていて
どんな生活をしていて
どんなことを大事にしているのかを
その人の書く文章で知っていて、
それに共感できるかどうか

がポイントです。

そして、相手の方が
私とずっとつながっていてくれるのも、
きっと同じ理由だと思うのです。

*

それはビジネスでも同じこと。

どんな思いで
何を大事にして
なぜ自分がその仕事やサービスをしているのかを
もっと魅力的に発信していければ、
あなたのファンが増えると思いませんか?

これからは、
ものがたりを軸として、
あなただけのものがたりを
もっともっと魅力的に発信し、
あなたのファンを増やすために
活動していきます。