2013/03/23

ふるさとは

「ふるさとは遠きにありて思ふもの」、と思っていた。そう思うものなのだと思って、18歳の私は家を出たのだし、就職するときも山形にだけは帰らないと思ったのだった。
 この2週間、京都、大阪、東京と山形を行き来していた。出かけていると生活のリズムが狂うこと、食事が適当になりがちなこと、なかなか熟睡できないことはやや気になるけれど、旅をするのは大好きだし、移動も苦にならないので、友達や仲間と会い、目新しい風景の中を歩くのも楽しい。
 それでも、東京駅で新幹線に乗り込み、周りが山に囲まれた見慣れた風景を目にすると、自分でも嫌になるほどほっとする。バスの行き先を何回も何回も確認しなくてもいいし、タクシーに乗るなら自分で通る道を指定できる、お気に入りのお店がいくつもある、呼吸をするのが楽、そんなことが、街が体に馴染んでいるということなのだろう。東京よりもひんやりとした空気をいっぱいに吸い込んで、やっぱりここが私のふるさとなのだ、と思わずにはいられなかった。
 年々、山形が好きになる気がする。

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