2013/06/11

小さなごほうび

「だから、私はフラの仲間にも心開いてきたし、新しく知り合うオハナちゃんを恐れなかったし、これからもどんどん家族になっていく自信があるよ。だってけんかもできないようないやな人だったら離れればよかったんだもの。一度創り始めてしまえばどんどん積み重なって大きく深くなっていくものだから。
 そういうふうに意図して創っていくとね、人間関係は絶対的にゆるされている大きな海みたいになるんだよ。あっという間にこわすことができるからこそ、慎重に、まるで赤ちゃんを抱くみたいに、人と人との関係を抱くことができるのよ。」
(よしもとばなな『まぼろしハワイ』幻冬舎、「まぼろしハワイ」116ページより)
 人間関係は絶対的にゆるされている海だ、と思えるようになったのはここ3年ほどのこと。それまでは、人間関係は常に煩わしく、トゲトゲしていないとすぐに嫌な思いをする、そんなものでしかなかった。心を割って話せる人など、ほとんどいないしこのままいないのだろう、と思っていた。
 それが今は、大好きな友達がいて、大切な仲間がいる。たとえ私が何か大きな失敗をしたり、人ができることができなかったりしても、きっとあたたかく受け止めてくれる、そう信じられる人たち。今こうやっていられるのは、人間関係でたくさん嫌な思いをしてきたことの小さなごほうびなのではないだろうかと、実はこっそり思っている。

0 件のコメント:

コメントを投稿