2012/12/22

父のような存在

 車を運転していたときに、以前働いていたビルの前を通ったら、とたんに記憶があふれてきた。
 30代も半ばになり、翻弄され続けているとはいえ、まがりなりにもこれまで仕事をしてこられたのは、手本となる2人の上司がいたからだ。そのうちのひとりが、そのビルで働いていたときの上司で、会うことは少なくなったけれど今でも尊敬している。自分の会社を経営しながら、ある団体の事務局で幹事を務めていて、とにかく気遣いと段取りの人だった。最初に働いた出版社でも、尊敬すべき上司に段取りについて嫌というほど叩き込まれ、そしてその団体で鍛えあげられたのだと言える。今の仕事でそういう場面を仕切ることができているのだとすれば、ひとえにその2人の上司のおかげだ。
 10年ほど前、私もちょうどそれだけの分年若く、経営者だけの集まりの中で、常に生意気なことを言っていた私はとてもかわいがってもらった。お酒を飲むことも仕事のうちだったし、セクハラまがいのこともあったけれど、経営者という人種の仕事のしかたに触れ、身近で学ばせてもらったのは何よりも大きな経験だった。今でも何かと気にかけてくれ、街中で会うと「おう、元気でやってるのか」と声をかけてくれる、父のような存在の人たちがいることをありがたく思う。

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