2012/12/29

移動する視点

 世の中には、歌を聞くときに歌詞に注目している人がたくさんいるらしい。
 私は絶対音感を持っている。音がドレミで聞こえるという、あれだ。小さいときにそういうレッスンを受けたせいなのか、それが当たり前だと思っていたし、世の中の人はみんなができるのだと思っていた。どの曲を聞いても、その音の音階がわかる。だから、私にとっては、歌詞は音階の代わりに発するものでしかない。今でもそうだ。
 このあいだお風呂の中でラジオを聴いていたら、あるバンドの歌詞について語ろう、という番組が放送されていた。「そのバンドの曲の歌詞に共感し、励まされ、支えられたことがあるのではないだろうか」というコンセプトの番組だった。たくさんのリスナーが、「この曲のここの歌詞がいいのだ」というエピソードやメッセージを送っていたけれど、私にはどれもはじめて認識する歌詞ばかりだったのだ。私もそのバンドが好きで、頻繁に歌っているのにもかかわらず、だ。
 私の言葉への偏重っぷりは自分でも呆れるほどだけれど、メロディがあるととたんに音しか聞こえなくなるらしい。ちょっとおもしろい発見だった。

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