2013/01/11

私の家庭教師

 受験のシーズンになると、必ず思い出す。私の家庭教師は父だった。
 根っから文系の私にとっては、高校受験のときから、ネックは数学と理科だった。数学は好きなところだけは一生懸命やって、わからないところはほったらかし、理科は先生が好きではなかったので質問にも行かない、という状態。見かねた理系の父が、数学と理科についてはみっちり教えてくれることになった。
 地元の新聞に載っている中学生講座を切り取り、仕事から帰ってきた父は、毎日根気よく私の勉強につきあってくれた。勉強に飽きて、適当に「わかった」と返事をすると、「ちゃんとわかってるのか説明してみろ」と言われ、よく呆れられたものだった。
 それにしても、と思う。毎日仕事をして疲れて帰ってきていただろうに、それでも私の勉強を見てくれていたなんて、なんと幸せだったのだろう。
 受験当日に、会場の高校まで送ってくれた父が、「絶対受かる。頑張ってきなさい」と言ってくれたことを、まだはっきりと憶えている。

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