2012/11/29

天才が見る景色

 五嶋龍のヴァイオリンを聴きに仙台へ。
 プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ、パガニーニの変奏曲、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ、ラヴェルのツィガーヌ、と難曲ばかりなのに、軽やかに、そして何よりも楽しそうに弾いているのがとても印象的だった。ころころとした音の粒が会場に広がっていく。挑んでいるのだけれど、そこここに感じられる余裕。必死さは微塵もない。演奏しているあいだに客席を見渡し、微笑み、堂々とした風格さえ感じさせる。3曲のアンコールを含め、終始圧倒されて帰ってきた。しばらく他の音は何も入れたくなくて、家でも五嶋龍ばかり聴いている。
 天才が目にするのは、美しい景色なのだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿