2013/02/20

かなわない

 ときどき、無性に詩を欲するのはなぜなのだろう。
 谷川俊太郎の「朝のリレー」や「ぼくもういかなきゃなんない」、茨木のり子の「自分の感受性くらい」、高村光太郎の「道程」、「あどけない話」、「元素智恵子」。いちばん好きな宮沢賢治の「告別」に至っては、読むたびごとに、涙ぐみさえするのだ。
 かなわない、と思う。限られたごく短い言葉で、ここまで表現されてはかなわない。何か読みたいと思う気持ちは小説でもエッセイでも満たされるけれど、詩を読みたいと思ったら、その欠けた部分は詩でしか埋まらないのだ。
 詩を書ける人に心の底から憧れ、また嫉妬する。

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