2013/04/22

舟を出す

 ある一定の範囲の人たちにしか通じない言葉がある。母国語然り、方言然り、専門用語然り、恋人同士然り。
 そんな共通言語を多く持っていればいるほど、親密度が高いのかもしれない。久しぶりに連絡を取った大学のゼミの同期と「駅南で舟を出したいね」という言葉を交わしながら、そう思った。ある時期、たしかに私たちは「舟を出す」ことを楽しみにしていたのだった、と懐かしく思い出す。
 そして卒業して15年経った今でも、お互いその言葉を普通に使い、何の不安もなく相手に通じることがうれしい。それは、私たちの関係がほとんど変わっていない、と無謀にも信じられることとほぼイコールだからだ。

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