2015/09/01

秘められた約束

 人との別れを経験したときに、必ず思い出す言葉がある。

「あのね、人が出会うときにはどうして出会ったかっていう意味があって、出会ったときに秘められていた約束っていうのが終わってしまうと、もうどうやってもいっしょにいられないんだよ。」
 楓がそのあとふいに私にそう言った。
(よしもとばなな『王国 その3 ひみつの花園』p119より)

 この半年で、私の環境はかなり変化した。ある人たちとは、その前はよくやりとりしていたけれど一切の連絡を取らなくなった。またある人たちとは、まだ親しい付き合いが続いている。そして、またある人たちとは、この半年で一緒に仕事をするようになったりもしている。

 そのたびに思うのだ。この人とはどんな秘められた約束があるのだろう、そして、それはいつまで続くのだろう、と。

 人との別れは、それとわかるときばかりではない。あとになって思い返せば、あのときが最後だった、ということだってよくある。もうそのときには、約束が終わっていたということなのだろう。

 私の中には、あといくつ秘められた約束があるのだろう。
 そして、あとどれだけの人と出会うことができるのだろう。

 今の私は、それを楽しみにしている。

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