2012/10/12

触れられてしまう

 音楽を聴いていて、ああ、触れられてしまった、と思うときがある。心ごと全部持っていかれてしまうような、やわらかい羽で心の奥深くをなぞられてしまうような感じ。
 いつもなら、音楽を聞きながら作業をすることもできる。仕事中はずっとクラシックを流しているし、朝起きて食事の準備を始めるまでの時間は、大抵音楽を聞きながら本を読んでいる。大好きな曲はたくさん、ほんとうにたくさんあるけれど、心に触れられてしまう曲は数多くはない。そんな曲は、聴いているだけで胸が詰まり、自然と涙ぐんでしまう。目を閉じて、曲に身を委ねるしかないのだ。どうしたって抗えない。
 そして、昨日の夜から今日にかけて、私の心はほとんどそんな曲に持っていかれてしまった、という話。他にもこの曲に触れられてしまった人がいたからこそ、100年以上演奏し続けられているのだろう、とどこか甘やかな気持ちで考えている。

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