2012/10/04

言葉の色鉛筆

 「で、結局お仕事は何なんですか」、と聞かれることがときどきある。わかる人にはわかってもらえるが、わからない人に説明するのはひどく難しい仕事だ。社長が講演活動とか企業研修をしていて、私はその会社で秘書兼なんでも屋みたいなことをしていて…と説明しても、「で、結局は?」と聞かれると言葉に詰まる。小さい会社だから、必然的にひとりひとりの仕事の領域は広くなる。その結果、私がやっているのは、調整や交渉や準備・手配のほかに、編集だったり校正だったり書類の作成だったり、一時期は労務も経理もなんでもやっていた。
 それでも、やっぱりいちばん好きなことは言葉に関わることなのだ、とつくづく思う。文章を書くこと、校正することだったらどれだけやっていても苦にならない。もちろん、真っ赤に校正を入れたゲラを見たくないことだってあるし、インタビューさせてもらった人の言いたいことを、どうやったらもっと的確に伝えられるだろう、とちょっと落ち込むこともある。でも、やっぱり言葉と戯れているときが幸せなのだ。
 私にとって、言葉は色鉛筆のようなものだ。たくさんの色鉛筆を使いながら、自分の見たり感じたりしたことにいかに近づけられるのか、その足し算や引き算が楽しくてたまらない。いつか、私そのものの言葉を見つけたい、と思っている。

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