2014/02/13

無邪気という概念

 「無邪気」なんて言葉は信じていなかった。小さい頃から、周りの人がどうして欲しいのかを読み取り、変なところで大人ぶってきた私にとっては、まったく理解できない概念だったから。
 一度そう振る舞ったことで、これからもそうしてくれるのだろうという期待を感じ取ってしまい、私はますます自分のそんな要素を自分の奥底に閉じ込めた。だからこそ、無邪気そうに見える人のことは、軽蔑しつつも強烈に羨ましかった。無邪気でいられるって、ひとつの才能だ、と思っていた。
 外側に合わせて、自分の形を変えることはいくらでもできた。実際そうしてきたし、大人という人種はみんなそういうことをしているのだと思っていた。そこには「邪気」が入り込んでいるのだから、もはや無邪気ではない、と思っていたのだ。
 でも、世の中には大人になっても無邪気な人がたくさんいる。そして、例外なく、そういう人たちは楽しそうに見える。
 大人が無邪気でいてもいいのだ、ということ。ピッピやロッタちゃんみたいに自由でありたい。

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