2014/02/17

諦念と哀しみ

 ときどき、自分は旅が好きなのではなく、移動するのが好きなのではないかと思ってしまう。移動も旅の一部なのだと思うけれど、それでも。
 新幹線や飛行機に乗り込み、自分の体が時速数百キロの速度でどこかに運ばれていくことが、私にとっては自分の中の風通しをよくすることなのだと思う。たとえ自分で決めた旅だとしても、自分の意志とは関係なく、否応なしにどこかに行かなければならないという小さな諦念と、ああ、これでもう元には戻れない、というささやかな哀しみ。
 週末の大雪で、昨日の夕方まで山形新幹線が運休だったので、今日の移動は飛行機に切り替えた。飛行機は定刻通り飛び立ち、私は機内でまだ終わっていない仕事をすることもなく、本も開かず音楽も聞かず、ただぼんやりとしていた。
 上空は、今日も青かった。

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