2015/08/10

【工藤春奈のものがたり】6 自分がなぜそれを選ぶのか

私が通っていた高校は、
女子校、しかも進学校でした。
入学式のときから大学受験の話をされ、
1年生でも全国模試を受けるような学校でした。

当然、志望する大学も
1年生のときから考えます。

根っからの文系なのに、
入学した当初は
「理系に行こうかなあ…」
などとぼんやり考えていましたが、
数学と物理が大の苦手では
理系に行けるわけもなく、
ほどなくして文系に志望を修正しました。

それでも、1回も志望学部に選ばなかったのが、
文学部でした。

本を読むのは相変わらず好きでしたが、
当時の私には、
文学を学ぶことに対する拒否反応がありました。
「大学に行って文学を勉強して何になるんだ」
という思いがあったのも事実です。

かといって特に勉強したいことも思いつかず、
先生になるつもりはないから教育学部もなし、
経済には興味がないから経済学部もなし、
ずっと会社員でいるつもりだから経営学部もなし、
と消去法で決めた結果、
志望学部の欄には
長いこと「法学部」と書いていました。

でも、あるとき、
「私は法学部に行って何をしたいんだろう?」
と考えたら、何も思い浮かばなかったのです。

弁護士になりたいわけでも、
検事になりたいわけでもない。
じゃあ法学部じゃなくてもいいのかもしれない、
とはたと思い当たりました。

そこで、自分の好きなことを
改めて考えてみると、
英語を使うこと、
そして政治に関するニュースを見ること
という答えが出てきました。

それに合致する学部を調べて
「国際政治を勉強したいんだ!」
という結論を出し、
それまでの法学部から
国際関係学部へと志望を変更したのです。

高校3年生の、
秋も深まったころでした。

担任の先生には
「今ごろ志望を変えるのか?」
と呆れられましたが、
「だってこれをやりたいんだもん」
の一言で押し通しました。

今考えてみると、
自分がなぜそれを選ぶのか
ということにこそ、
自分のものがたりがあるのだと思います。

「なぜ自分がそれをやるのか」。

今でも、とても大切にしている質問です。

7へ続く。

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